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長野県が主催(運営事務局:株式会社Publink)する、長野県内の市町村が抱える課題を、多様な企業とのオープンイノベーションによって解決する取り組み「チャレンジナガノ2.0」。
R3〜R7の5年間累計で779件の応募があり、353件のマッチングが成立しました。そして、地場産品のマーケティングや公共交通、六次産業化など、すでにプロジェクト化実績が出ているとともに、様々な分野で多くのプロジェクトが事業化に向けて進んでいます。
2026年3月11日に開催された『チャレンジナガノ2.0 2025 DEMODAY』の様子をレポートしていきます。
※本記事は、原則全文書き起こしとなりますが、イベントや話者の意図が一層伝わるように、一部(事務連絡、言い淀み、繰り返しなど)編集を加えております。
※記事内の肩書などは、イベント当時のものとなります。
上田市:天空の絶景・美ヶ原高原における魅力的な拠点開発
上田市 武石地域自治センター 地域振興課 八木 氏(以下、上田市 八木):
改めまして、上田市武石地域自治センター地域振興課の八木と申します。当市では、「天空の絶景・美ヶ原高原における魅力的な拠点開発」をテーマに、これまで取り組んでまいりました。

上田市 八木:
本日は、当市のご紹介と事業内容、重点推進枠企業として選ばせていただいた理由について説明させていただき、企業様から取組み状況をご報告いただいたのち、チャレンジナガノ事業のメリットなどについてご報告させていただきます。

上田市 八木:
上田市は、長野県の中央に位置し、新幹線、高速道路が通り、首都圏からのアクセスが良好です。

上田市 八木:
上田市には様々な地域資源が点在します。

上田市 八木:
大河ドラマ「真田丸」でも有名となった上田城。

上田市 八木:
遊休荒廃地からワイナリーにまで再生した陣馬台地。

上田市 八木:
日本のダボスと称される菅平高原など、自然と都市機能が融合する、“ちょうどいい田舎”の代表格です。

上田市 八木:
今回のテーマである美ヶ原高原へは、市南西部の武石地域からアクセスできます。標高2,000m、上田駅からは車で約1時間30分の場所が、今回の対象地となります。

上田市 八木:
舞台は、日本一標高の高い「道の駅美ヶ原高原」に隣接する市有地で、「ビーナスライン」の終着点に位置しています。

上田市 八木:
環境省の調査では、「本州一、星空がきれい」と評された、まさに天空の特等席です。

上田市 八木:
また美ヶ原の3つの強みとして、集客力や山岳観光の高まり、未開拓な事業環境など、まさにブルーオーシャンといった場所です。


上田市 八木:
しかし現在、老朽施設が放置され、土地の有効活用もされずにいます。

上田市 八木:
地域としても長年の課題でしたが、今年度は解体設計に着手。来年度には解体工事、プロポーザルによる民間への貸付を予定しています。

上田市 八木:
今回のチャレンジナガノでは、単なる開発ではなく、「この地の価値を最大限に活かし、地域と共に持続可能な未来を創るパートナー」を求めておりました。

上田市 八木:
具体的には、市では拠点整備から運営をワンストップで提供することは難しいことから、その一連を一括して行えたり、武石地域への観光流入増に向けた体験型コンテンツやツーリズム化など、地域との連携を視野に入れた検討ができる企業の皆様とご一緒したいという思いで、応募を募りました。

上田市 八木:
今年度のチャレンジナガノでは、7月のテーマ説明会後、当市への応募は、43社からいただきました。

上田市 八木:
うち、14社とは、市との個別面談であるパートナー枠として選定し、また、上田市と事業者のほか、長野県と事務局が加わった面談方式である重点推進枠の候補として、5社との面談を実施しました。


上田市 八木:
その結果、重点推進枠として2社を選定し、10月のキックオフミーティングから面談を重ねてまいりました。

上田市 八木:
1社目のYADOKARI様からは、体験型宿泊施設の開発・運営について提案をいただきました。武石地域、ひいては上田市の回遊性増進に資するエリア開発を、地域の文化や伝統などの文脈をとらえ、設置するトレーラーハウスの性能等を検討いただける点から、地域に寄り添ったエリア開発が期待できると感じています。

上田市 八木:
2社目のアースボート様は、本対象地の特性を十分に生かしたラグジュアリー感のある宿泊拠点の開発を提案いただきました。長野県の企業である点、また資金調達から開発までを自社で行える点に加え、サウナなど特徴的なトレーラーハウスを設置されている実績などを踏まえ、選定させていただきました。
2社とは、対象地の再定義、地域住民視点での理解増進に向けた事業、インフラ面の課題を中心に議論を深めています。この後、2社から議論の経過等について説明いただきます。私からの説明は一旦以上となります。

株式会社Publink 代表取締役社長 栫井 氏(以下、Publink 栫井):
上田市の八木さん、どうもありがとうございます。43社は相当すごいです。その中で企業さんの話ですね、YADOKARIさん、お願いいたします。
YADOKARI株式会社:「対話から描く、地域とともにつくる拠点開発」
YADOKARI株式会社 北本 氏(以下、YADOKARI 北本):
上田市さんからご紹介いただいた、YADOKARI株式会社の北本といいます。
テーマとしては、今まさに八木さんがおっしゃっていたような、対話から描きながら、地域とともにつくっていく拠点開発という内容で、今回、報告会の説明をさせていただきたいなと思ってます。

YADOKARI 北本:
YADOKARIという会社は、場所と人を動かす会社です。トレーラーハウスという可動産を用い、使われてない土地であったり、課題を抱えた地域に対して、新しい暮らしや、経済の流れ、人の流れをつくっていくような場づくりを行っています。

YADOKARI 北本:
これまで多くの自治体さんと一緒にお仕事させていただき、その中で毎回感じるのは、必ずその地域には魅力的なポテンシャルがあり、それは美ヶ原でお話しいただいたような風土とか風景、それだけではなくて、産業とか、住まれている人、それらの魅力を引き出していくことが非常に重要だと考えています。

YADOKARI 北本:
弊社が運営してるYADOKARI VILLAGE北軽井沢です。この敷地は崖地条例の制約により恒久的な建物が建てられない一方で、浅間山を望むことができる魅力的な風景がある場所です。私たちは、この「建てられない」という制約を前提にしながらも、滞在を通じて、この場所の魅力をじっくり味わっていただくことで、滞在価値を高める体験設計を行い、これまで事業として展開してきています。

YADOKARI 北本:
このようなハードの施設開発だけではなくて、YADOKARIでは、人が集まり、関わり続けるためのソフトの仕組みも大事にしています。
弊社がこれまで企画・運営させていただいてるイベントの一例を掲載していますが、これらは単なる集客の手段としてのイベントではなくて、地域に住んでる方や、施設に興味を持たれている方が「参加者」にとどまらず、徐々に「当事者」へと関わりを深めていくプロセスを大事にしています。こうしたソフト面での取り組みは、拠点の価値を持続的に高めていく基盤になると考えており、今回の拠点整備においても十分に活かしていけると考えています。

YADOKARI 北本:
年間50万人が訪れる絶景である一方で、観光地としては通過点になってしまっているという課題や、地域構造・インフラ面の課題など、複数の論点がありました。そうした中で、単に新しい拠点を整備するのではなく、対話を重ねながら、どのような未来を描いていくかを一緒に考え、上田市さんと共に進めていけることに、当初から大きなワクワク感を感じていたのを覚えています。

YADOKARI 北本:
今回の成果としては、短期間の中で元気づくり支援金への申請ができたことと感じています。なぜできたのかというと、上田市さんが積極的にやりたいことを持たれていたことは非常に大きかったかなと思います。
一方で、YADOKARI側も伺いながら、それを資料にアウトプットしていくならこうだよね、と対話していきながら、前に進んでいった感覚があったのが、成果に繋がった点かと思っています。

YADOKARI 北本:
3.5ヶ月の期間で、大体8回から9回ぐらいミーティングをしたのですが、双方向でこういったことを今考えるべきなんじゃないかとか、どういう風に解決をするのかというのを当事者目線でお互いに進めていけたところが、この成果につながった背景かなと思っています。

YADOKARI 北本:
2026年度からいよいよ住民の方との対話を始めていきたいと考えていて、その時に我々が大事にしたいのは、「こういう施設を作ります」というふうに完成形を出していくような作り方ではなくて、「美ヶ原は地域の方にとってどういう場所だろうか」、「将来どうあればいいのか」と、対話を通じながらお話し、状況を丁寧に紐解きながら丁寧に作り上げていくような進め方をしていきたいと思っています。

YADOKARI 北本:
全体のスケジュールは、先ほど、八木さんからもお話のあったように9月にプロポーザルがあり、その手前段階でこういった対話型のワークショップを実施していこうと考えています。

YADOKARI 北本:
最後に、今回、上田市さんとご一緒できたこと、心から楽しく感じました。スライドにも「いい意味で裏切られた」と書かせていただきましたが、行政の方とのプロジェクトでありながら、お互いが当事者として関わり、共に動いていく。そのプロセスは、私たちにとって新鮮で、驚きの連続でした。
上田市の皆さまが「どうしていきたいか」という思いを率直にぶつけてくださるからこそ、私たちも自然と気持ちが動き、それに応えていこうという熱量が生まれる。そして、そのやり取りの中で、互いに感謝し合える関係性が築かれていく。そんな温かさを、毎回感じていました。
上田市さんの皆さんだからこそ、これから美ヶ原、武石地区の未来を一緒に描いていくことを楽しみにできるなというのを感じています。ご清聴ありがとうございました。

Publink 栫井:
素晴らしいプレゼンありがとうございました。続いてアースボートさん、投影お願いいたします。
株式会社アースボート:トレーラーハウス型宿泊事業モデルによる美ヶ原地域の活性化
株式会社アースボート 代表取締役 吉原 豪 氏(以下、アースボート 吉原):
よろしくお願いします。アースボートの吉原と申します。我々は、長野県信濃町にあるスタートアップです。長野県内を中心に、スライドの写真に写っているのは白馬ですが、このような場所でトレーラーハウス型の宿を展開している事業者です。

アースボート 吉原:
現在、長野県では、黒姫、野尻湖、白馬、戸隠、白樺湖、上田で運営しておりますが、他にも群馬県、栃木県にも、宿泊施設を展開しています。
本拠地は信濃町になりまして、私自身も信濃町出身です。

アースボート 吉原:
このような雪深いところで展開しております。右側が白樺湖に置いてあるアースボートの写真です。大きな開口部を設け、外の景色をに楽しめる点が特徴です。

アースボート 吉原:
トイレやシャワーも完備しておりまして、部屋の中には、キッチンやサウナも併設されています。このサウナが特徴で、自然の中で過ごす宿を作っている関係上、トレーラーハウスの中で過ごすというよりは、外で過ごすことをメインに置いています。
サウナで体を温めることができるので、外でも長い時間を過ごせます。冬場の寒い時期など、どんな季節でも外で過ごせるような体験設計をしているのが特徴です。


アースボート 吉原:
現状では、3つのモデルを展開しております。

アースボート 吉原:
利用者は主に若い世代、特に20代、30代が多く、首都圏からお客様を誘客できることも一つの特徴です。

アースボート 吉原:
今回の上田市さんでは、美ヶ原の美しい自然が見られるロケーションで検討させていただきました。廃墟群を上田市さんが取り壊すということで、ここでやりましょうとお話を進めさせていただきました。

アースボート 吉原:
現地を訪問した感想としては、非常に魅力的な場所であるのは間違いないと思っています。美ヶ原というブランドもに加え、星の美しさ、既に集客もできている場所でもあり、非常に魅力的に感じました。


アースボート 吉原:
スライドのように地域との連携も考えております。標高約2,000mにあり、現在も夏場は多くの人で賑わっているのですが、冬場に営業できるかという点が最大の課題だと現地を視察して改めて感じました。宿を運営する上ではとても厳しい自然環境だと思いました。
まず標高2,000mで雪が降る冬場は道が閉ざされる。この中でビジネス的にも成り立つようなご提案をできるかという点に非常に時間を使いました。この点は、上田市さん、担当の八木さんを中心に議論を重ねまして、我々としては冬季の営業も含めてやる前提で考えております。
1年のうち冬季の4か月~5ヶ月は営業ができないとなると、ビジネスとして難しい点に加え、せっかくの冬の魅力を広く伝えたいという想いもありました。
冬も含めて365日営業をする前提でご提案をさせていただいておりますが、冬に営業することは技術面、体験設計面ともにハードルが高く、特に除雪ができていない点が大きな課題です。これは県ともうまく連携をして今後やっていかなければいけない点です。上田市、我々民間、そして県と共同で、どうにかここを除雪をして道を開通させ、我々がしっかり責任を持って運営をする体制が築けるかどうかが非常に肝だと思っております。

アースボート 吉原:
振り返って、上田市は非常に魅力的な場所であるのは間違いないです。県、市、我々民間がしっかりと一緒に議論をしながらですね、検討を重ねることができたので、(チャレンジナガノは、)とても良い取り組みだったと思っております。
課題はありますが、ぜひ取り組みたいと思っておりますので、よろしくお願いいたします。ありがとうございました。

Publink 栫井:
ありがとうございます。では、2社様のコメントを踏まえて、八木さんコメントをお願いいたします。実際やってみてどうだったのか。
上田市のコメント
上田市 八木:
本事業に参加して感じたことは、長野県庁が関わることでの反響の大きさです。令和4年度に市独自で実施したサウンディング調査では、4社の提案でした。

上田市 八木:
しかし本チャレンジナガノでは、前回から10倍を超える提案をいただきました。心より感謝申し上げます。

上田市 八木:
この取組を通じて、対象地は「地域の共有財産」であるという認識を再確認するとともに、多くの企業の皆様との出会いを通じて、拠点を起点とした広域ツーリズムなど、新たな発想が広がりました。

上田市 八木:
私の感想としては、文字通りチャレンジしてよかったと思っています。なかなか市町村だけでは難しい面談も、栫井さんをはじめとしたPublinkの皆様、長野県の皆様による、行政、企業の立場を理解し進行いただける、手厚い支援体制こそ、本事業の大きな魅力です。
また、チャレンジナガノでは、受け身ではなく、すべて積極的に取り組むことを意識して取り組みました。パートナー枠の企業とは1回以上の打合せを重ねたり、写真にあるように、プレゼンさせていただける機会があれば、足を運ぶこともしました。
そのうえでは、検討中の自治体の皆様には、まず応募してみることをお勧めしたいと思います。
挑戦することで、課題に対して新たな道が開けると実感しています。

上田市 八木:
「絶景だけでは終わらせない」この言葉を胸に、今後も本事業を推進してまいります。最後になりますが、すべての関係者の皆様へ感謝申し上げ、私の報告を終わります。ご清聴ありがとうございました。


Publink 栫井:
絶景だけで終わらせない八木さんのプレゼンでした。ありがとうございます。
補足ですが、アースボートさんのプレゼンにもあった通り、冬場の実施については、まだ決まっている話ではなく、現在まさに検討・調整中の段階です。
ただ、今日お聞きいただいている皆さんから「美ヶ原の最高のロケーションで、冬もできたらめちゃくちゃいいじゃん!」というような声がたくさん集まると、「それだけニーズがあるんだ」と県としても受け止めやすくなります。
ぜひ、元気玉のように皆さんの声や想いを集めていただいて、「こういう取り組みが求められているんだ」というムーブメントを一緒につくっていけたら嬉しいです。
声を上げていただくことは大歓迎です!

